ジャパンディの色選び:部屋を3色でまとめる方法
あなたの部屋の色は、今いくつありますか?壁の白、ソファのグレー、ラグのベージュ、クッションの青、照明のゴールド……気づけば5色も6色も混在していて、なんとなく落ち着かない、でも何が問題かはっきりわからない、という状態になっていませんか。私もそうでした。ジャパンディ(日本の美意識とスカンジナビアデザインを融合したスタイル)に惹かれてインテリアを変えようとしたとき、最初につまずいたのは「色が多すぎる」という問題でした。試行錯誤の末にたどり着いたのが、色を3つの役割に分けて考える方法です。今日はその考え方を、実際の色番号と部屋の具体例を使って書いていきます(まだ自分でも試している途中なので、ぜひ一緒に考えてください)。
なぜ3色に絞ると部屋が「落ち着く」のか
色数を減らすことで部屋が整って見えるのは、視覚的な情報量が減るからです。人は空間に入った瞬間、無意識に色を「読み取り」ます。色が多いと脳がそれだけ多くの情報を処理しようとして、じわじわと疲労感が生まれます。ジャパンディが「静かで落ち着く」と感じられるのは、素材や形だけでなく、色の数が少ないからでもあると思います。
3色という数字は、インテリアデザインでよく使われる「60:30:10の法則」とも対応しています。これはベースカラーに60%、アソートカラーに30%、アクセントカラーに10%の面積比率を割り当てるという考え方です。絶対的なルールではありませんが、最初の指針としては驚くほど使いやすい。私が最初に試したとき、比率を意識しただけで部屋の印象がかなり変わりました。
ベースカラーを決める:部屋の「地」をつくる色
ベースカラーは壁、床、天井など、部屋の大面積を占める色です。ジャパンディでは、ここに白や生成り、淡いグレーベージュ(いわゆる「グレージュ」)を選ぶことが多いです。日本の住宅で一般的な白壁の場合、塗り替えずに使えることも多いのですが、真っ白(たとえばマンセル値N9.5前後の純白)はジャパンディには少し硬すぎる印象になりやすい。
おすすめは、少し黄みや赤みを含んだオフホワイトです。日本塗料工業会の色見本でいうと「19-90B」や「22-90F」あたりが参考になります。市販のペイントなら、アサヒペンの「ナチュラルホワイト」やカンペハピオの「ウォームホワイト」が近い色調です。床が無垢材や突き板フローリングであれば、オーク系(明るい黄褐色)かウォールナット系(濃い赤褐色)かで、壁色の選び方も変わってきます。オーク床には少し暖かみのあるオフホワイト、ウォールナット床には少しクールなグレージュが馴染みやすいと感じています。
ベースカラーは「色のない色」であるほど、空間が呼吸できる余白になる。
アソートカラーを選ぶ:空間に「骨格」を与える色
アソートカラーはソファ、カーテン、大きな家具など、空間の中で次に面積を取る色です。ここがジャパンディらしさを一番左右する部分だと思います。ベースが白系であれば、アソートには温かみのあるニュートラル(タープ、サンド、テラコッタの薄め)か、くすんだオリーブグリーンやダストブルーを選ぶと、一気にジャパンディらしい雰囲気が出ます。
具体的な色番号で言うと、タープ系ならマンセル値でおよそ5YR 6/2から5YR 7/3の範囲です。くすんだグリーンなら10GY 5/2前後。IKEAの「KIVIK」シリーズのカバーでいえば「ノードバーサ タン」、ニトリのカーテンであれば「リーナ グレージュ」あたりが手に取りやすい例として参考になります(ただし実物と画面の色は必ず違うので、サンプルを取り寄せることを強くすすめます)。私はカーテンを3回買い直しました。画面で見た色と実物が全然違って、毎回学んでいます。
アクセントカラーを使う:10%に「意図」を込める
アクセントカラーは、クッション、フラワーベース、照明シェード、アート作品などの小物に使う色です。面積は全体の10%程度ですが、ここが空間の「個性」を決めます。ジャパンディでよく使われるアクセントカラーは次のような選択肢があります。
- 焦げ茶・チャコール:素材感を強調したいとき。陶器や鋳鉄のアイテムと相性がいい。
- テラコッタ(くすんだオレンジ):日本の土物陶芸と親和性が高く、季節を問わず使いやすい。マンセル値 5YR 5/6前後が目安。
- インディゴブルー(藍色):日本の藍染めとスカンジナビアのブルーが重なる。濃すぎないくすみ藍がポイント。
- モスグリーン(苔色):植物と合わせると特に映える。壁がオフホワイトなら驚くほど締まる。
- マスタードイエロー:少量でも空間が明るくなる。ただし彩度が高いと浮くため、8YR 6/6以下のくすみ系を選ぶこと。
3色を実際の部屋に当てはめてみる:私の6畳の場合
私が住んでいるのは東京郊外の築25年のマンションで、リビング兼寝室として使っている6畳の洋室があります。壁は元から白(管理規約で塗り替え不可)、床は濃いめのウォールナット調フローリングです。この条件でジャパンディの3色を当てはめると、ベースカラーは既存の白壁をそのまま使いつつ、ラグでオフホワイト寄りのウール素材を一枚敷くことで「地」を整えました。具体的には無印良品の「ウール平織ラグ」の生成りです。
アソートカラーには、カーテンとソファカバーにダストグリーン(マンセル値 5G 5/2前後)を選びました。もともとあったソファは本体がグレーだったので、カバーだけ替えました。これだけで部屋の印象がかなり変わりました。アクセントカラーは焦げ茶で統一して、益子焼の小鉢とウォールナット材のブックエンド、それから母にもらった古い漆の盆を飾っています。3色に絞ったことで、物を増やすときの判断基準がはっきりして、「この色は3色のどれにも入らない」と気づくと買わずに済むようになりました。
ひとつ正直に言うと、3色ルールは完璧には守れていません。窓際に飾った観葉植物の緑が若干「アソートカラーのダストグリーン」と競合しているし、季節ごとに変えるクッションで迷うことも多い。それでも「3色に戻る」という基準点があるだけで、部屋のメンテナンスがずいぶん楽になりました。あなたの部屋の「3色」は、もう決まっていますか?
色を選ぶことは、暮らしの価値観を選ぶことと少し似ていると思います。何を見たいか、何を手放すか。3色というシンプルな枠組みは、その問いを具体的な選択に変えてくれる道具です。あなたの部屋の3色が決まったとき、その組み合わせが「なぜこれを選んだか」を語れるものになっていたら、それがいちばんのジャパンディだと私は感じています。